「みんなの意見」は案外正しい
僕は、民主主義には懐疑的だ。衆愚政治 に陥ると思っているし、多数決ですべての物事を決めるのは愚かしいと思っている。
ただ、スーパーマンみたいな指導者の存在も同じ位疑わしいし、いたとしても権力を握り続けて腐敗しない人間なんていないだろうなという思いはある。
また、将軍様のような為政者の下に生まれなくてよかったなとも思う。
そういうわけで現在の基本的なスタンスは、10年以上前に西部 邁の著作で読んだ、
「大衆は愚かだから、多数決は駄目。だけど信頼できそうな人を選ぶ位の能力はあるから、信頼できそうな人をみんなで選んで、その人たちに指導してもらえばいい。」(手元に原本がないので、うろおぼえ)ので、代議制が、セカンドベスト。みたいな考えに同意してから変わっていない。
そこに本書。
Web2.0 の流れの中、Googleなどを例に引きながら、大衆の叡智を説き、個人がメディアリテラシーをもつことにより、「今後の世界は、ITを利用した、『本当の多数決』がもっとも偉大なソリューションとなる!」ってなことを論理的に説いていると思い、「おお!この論理が納得できれば、10年ぶりのマイパラダイムチェンジだ!」と言う予断を持って読了しました。
本文では、大衆の知を結集してだされた結論は、賢人が出した結論より良いことがおおいよ。とか、大衆の知が有効である条件とか、大衆が暴走してしまうこととかが事例をあげて数々論じられています。これらは示唆にとんでおり、非常に興味深く読み終わることができました。
ただ、結論として最後に「民主主義」という章が設けられているのですが、
「政策をつくったりするのは認知の問題ではないので、集団の知恵に委ねるべきではないかもしれない。」
「民主主義は最悪の政体である。これまで試された過去のあらゆる政体を別にすれば。」
「民主主義は他の政治システムよりはマシなんだ。」
んーーーっ
マイパラダイムチェンジをねらって読んだんですが、今までの基本認識を補完する結果に終わりました。
ちょっと期待しすぎたかな。