硫黄島からの手紙
非常に繊細な映画。クリント・イーストウッドの出自にも関係しているのか、日本人が製作した以上に、当時の状況、日本人の心情を表現できているのではないかとすら思う。
この映画では、「天皇陛下万歳」であるとか、「靖国で会おう」等、当時言っていたであろう台詞が、随所に出てくる。
逆に、「男たちの大和 / YAMATO」では、詳細は忘れてしまったが、そのような台詞が母のためとか、子供のためとか「ヒューマン系」な表現に置き換えられており、違和感を感じた記憶がある。
これは何のためなんだろう。そういう台詞を持ち込むことで、何か思想的、政治的なアピールをしようとしていると受け取られることを恐れたのだろうか。
個人的にはそれは欺瞞にしか思われなかったので、見ていて醒めてしまった。
「日本人が製作した以上」とさっき書いたが、戦後60年たっても、日本人の心情を「代弁」してもらわなければならない状況が続いていることに対してどうかとも思わされた。