Oracle Database Summit 2009

クラウドという単語に嫌悪感を抱く向きも多いようだが、今回ばかりはクラウド化へ向かうのが世の趨勢となる気がする。

ASPと内容は同じじゃないかと思いつつも、この業界は実際に『もの』を売っているというより、コンセプトを売っているので、手垢のついた言葉では商売にならない。クラウドやらWeb2.0 やらともすればバズワードとも思われる言葉でも商売が回っていくならそれもよしと達観する必要もあるのだろう。

で、今回のOracleのカンファレンスでも例に漏れず、クラウド時代にOracleがどういった価値を提供できるのかという点が主題だったように思う。

セッションを受けての自分の解釈とメモを綴っておく。

1.Oracleのグリッド

いわずと知れた 11g の g は grid の g なのだが、Oracle のいうグリッドとは、一般的にいうグリッドコンピューティングとは異なり、横軸にインフラ層(アプリケーション、APサーバー、DB、ストレージ)をとり、縦軸に業務(会計、人事、調達、物流)システムをとったとき、縦割りになっているシステム構成を、グリッド(格子)化することを言うのだそうだ。

ora_summit01

スピーカーの人も、『エンタープライズグリッド』といっていたが、オープン系サーバーを統合することによって、仮想的に論理的な1つのサーバーを構築し、メインフレーム的に使用することができる(メインフレームを置き換えることができる)インフラを構築するものという位置づけになるのだろう。

2.Oracleの仮想化

上記グリッド化、オープン系サーバーによる仮想メインフレームの構築のためには、すべてのリソースを仮想化し論理的に統合する必要がある。仮想化というと、1つの物理環境を分割するイメージがあるが、リソースを柔軟にその分割環境へ配分するためにも、まずすべてのリソースを統合、プールしたのちに行う必要がある。そのための技術が、Oracle Clusterware をはじめとする各技術群。

2.1 Oracle Clusterware

サーバーをサーバープールでグループ化し、ポリシー定義に従って一元的に自動管理する。

2.2 Grid Plug and Play

サーバーノードの追加・削除を自動化し、手動操作によるミスの防止を行う。Single Client Access Name(SCAN)、Grid Naming Service 等から構成される。

3.アプリケーション

基本的に、一番興味がある箇所ではあり、エディションは非常に面白そう。

3.1 エディションベースの再定義

たとえば、テーブルに変更を加えても、新旧のアプリケーションを同時に使用することができる。

そのためには、オブジェクトを『エディション化』する。実際にはテーブルはエディション化できず、ビューをエディション化する。ただしこのビューはテーブルと同様の属性をもつ。

edition01

要するに、旧アプリケーションには、ビューをテーブルといって見せといて、テーブル変更による不整合ははトリガーで整合性をあわせるという話。

これにより、アプリケーションを停止せずに速やかにアップグレードが可能になりますよ。

3.2 Oracle Data Guard

・スタンバイデータベースを、活用できる。集計、レポーティングなどのバッチ処理。

・これは、プライマリとのタイムラグが少ないため可能。

・スタンバイとの同期はREDOログの転送によって行い、さらにREDOログは圧縮して送信。

4.Exadata V2

そんなOracle 11g R2の能力を最大限引き出すのが、Oracle/Sun のアプライアンス製品 Exadata V2 だそうだ。コア技術としてこの間買収した Sun のフラッシュカード技術が採用されているメモリの化け物。すごい早いらしい。

exadata01 exadata02

Database Server と Storage Server とから構成されていて、その速さの秘密が、

4.1 やたらメモリを乗せている

Database Server の RAM が フルラック(×8台)で、576GB、Strage Server の フラッシュカードが フルラック(×14台) で、5TB

4.2 接続が高速

InifiniBandで超高速(40GB/Sec)でDatabase Server、Strage Server間を接続。ボトルネックにならない。

4.3 ストレージ側でいろいろ

このあたりの仕組みが聞いていておもしろかったが、Strage Server 側では、単にデータを保持するだけではなく、インテリジェントな動きをいろいろする。

ただし、この動きは透過的であるため、DBサーバー利用者からは意識されない。なんだかわからんけど早い状態。

Smart Scan ・・・ 結果となる行や列のみをデータベースへ返す。データベースサーバーの負荷がストレージサーバーに分散。

Columner Compression ・・・ データを列単位かつ、圧縮して格納。

Strage Index ・・・ メモリ内で表データのサマリー情報を管理。列内の最小値、最大値を格納し、1MBごとにインデックス1エントリーを作成し、問い合わせ結果に含まれない行を判定し、ディスクI/Oを削減する。

Smart Flash Cache ・・・ フラッシュカードに頻繁にアクセスするデータをキャッシュ

5. コスト削減

そんな Exadata を 2台買っても、IBMのメインフレームの5分の1のお値段。ASM (仮想ストレージの自動管理機能)で、ストレージコストを10分の1に。

 

大きくはそんなところ。

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