部品表
目次
- 1 部品表(BOM)
- 1.1 概要
- 1.2 BOMの再構築
- 1.2.1 変更にあたっての問い
- 1.2.1.1 全員知っている言葉で定義
- 1.2.1.2 部品番号はいつどのように割り当てられるのか、特殊な部品はどうするのか、部品番号は重要なのか
- 1.2.1.3 BOMに望んでよいもの、いけないものは何か
- 1.2.1.4 一度きりの代替品と特注品の顧客要求はどう扱うのか
- 1.2.1.5 すべての製品を扱うためにBOMを構築する必要があるのか、複数の製品やオプションをどのように扱うべきか
- 1.2.1.6 設計変更を処理する最良な方法とは、新製品をスムースに導入するためにBOMを構築する必要があるのか
- 1.2.1.7 BOMを構築する確実な方法はあるのか、製造プロセスが変わったとき、BOMの構造も変化するのか
- 1.2.1.8 部品番号には意味を持たせるべきか
- 1.2.1.9 ボルトやナットのように細かい安価な部品をBOMに入れるべきか
- 1.2.1.10 技術部門と製造部門に別々のBOMが必要なのか
- 1.2.1.11 BOMに図面やプロセスシート、仕様書を含めるべきか
- 1.2.1.12 だれがBOMの再構築をするのか
- 1.2.1 変更にあたっての問い
- 1.3 BOMの検証
- 1.4 BOMの用語定義
- 1.5 ファントム
- 1.6 BOMに含むアイテム
- 1.7 BOMの階層
- 1.8 標準化・モジュール化
- 1.9 BOMのモジュール化
- 1.10 各種要望書
- 1.11 BOMの変更方法
部品表(BOM)
概要
役割
部品発注
製品コスト算出
製造、部品供給スケジュール
BOMの顧客
- 製造部門は製品を作るために
- 倉庫部門は部品出庫のために
- 生産管理部門は部品調達のために
- 他部門よりも高い精度を要求
- 生産管理部門のニーズを満たして構築されなければならない
- 経理財務部門はコストを見積もるために
- 販売部門は使用を固めるために
自分たち専用のBOM
- ユーザーの期待にそぐわないとき、作成、維持
- 冗長で高価
- 維持管理が大変
BOM未整備の代償
- 納期遅延
- 過剰在庫
- 非効率的生産
- オペレーションコスト増大
- チームワークとコミュニケーションの欠如
- 不平不満と意識の低下
- 資源の浪費
- 人、部品、設備、資金、時間的制約
最重要課題
検討
- 顧客要求リードタイムと製造リードタイムの比較
- 需要予測、基準日程計画(マスタスケジュール)化すべき部品の検討
- 生産手法、生産コスト、部品の流れを含む製造プロセスの検討
- 生産コストの検討
- 事務処理と在庫の出入庫量の検討
- BOMのメンテナンス
- 在庫投資
- 設計検討
- 受注管理システムへの要求
- 成果物(書類)
BOMはプロセスをそのまま転写しているということが重要
- 製造リードタイムが短くなる
- 見込み生産から受注生産へ変更できる
- 完成品の在庫は不要
BOMの6大原則
品目情報や構成情報のデータが社内ユーザーのニーズを満たして完璧なこと
部品番号はユニークでなければならない
- 形状や取り付け方法、機能などが違う場合、新しい部品番号が必要
BOMは図面番号ではなく部品番号からなるべき
BOMはスケジューリングすべき項目すべてを含む
- 完成品の生産日程を決めるのに必要なサブアセンブリ
- 半完成品
BOMを出来るだけ少ない階層で構成する
- 仕掛段階を特定するためには部品番号を割り当てない
- 工順の作業番号がこの目的を果たす
BOMの変更は事前に全社の承認を得てから行う
精度
チェック項目
- 品目情報が過不足無く正確
- ユニットごとの数量が正確
- ユニット数量をはかる単位が正確
- 構造が正確
カンバン方式でもBOMは必要
- 資材所要量の計算
- カンバンレベルの設定
測定方法
- 精度とはチェック項目に対して、100%完全に一致するシングルレベルのBOMの割合
- 10のコンポーネントからなる製品で各コンポーネントに10部品がつく
・10のシングルレベルBOM ・100のアイテム ・1つのコンポーネントに誤りがあると制度は90%
- 方法種類
- BOMのサンプル調査
- BOMの通りに部品を抽出して生産指示を行ってみる
- 倉庫から計画外の出入庫を管理
・余分な部品が出入庫されていたらBOMに問題があるかもしれない
- 生産ラインの過剰を注視
・機械一台のまわりに部品が大きくつまれていたら要注意
- 製品やコンポーネントを解体しBOMを参照して部品をチェック
- BOMを用いてコストの概算を出し、実際の製造コストと比較
BOMの再構築
変更にあたっての問い
全員知っている言葉で定義
部品番号はいつどのように割り当てられるのか、特殊な部品はどうするのか、部品番号は重要なのか
BOMに望んでよいもの、いけないものは何か
一度きりの代替品と特注品の顧客要求はどう扱うのか
すべての製品を扱うためにBOMを構築する必要があるのか、複数の製品やオプションをどのように扱うべきか
設計変更を処理する最良な方法とは、新製品をスムースに導入するためにBOMを構築する必要があるのか
BOMを構築する確実な方法はあるのか、製造プロセスが変わったとき、BOMの構造も変化するのか
部品番号には意味を持たせるべきか
ボルトやナットのように細かい安価な部品をBOMに入れるべきか
技術部門と製造部門に別々のBOMが必要なのか
BOMに図面やプロセスシート、仕様書を含めるべきか
だれがBOMの再構築をするのか
BOMの検証
技術の世界では、単純な形が一番美しい
BOMを再構築するときは、常に複雑なものを単純化する心がけが必要
BOMは製造方法を正確に反映している必要がある
BOMの構築プロセスはその会社にあわせる必要があるが、構築にあたりすでに実証済みの方法を利用できる
早い段階から製造部門の人に参加してもらう
BOMが製造方法を反映しているかどうか確かめる
製品指向
製品の見方
- 製品とは生活の糧を与える
言葉の定義
部品番号と図面の扱い
部品番号
- いつどのように割り当てる
- 意味づけをすべきか
製品の技術文書
- 図面、テスト仕様書、QA仕様書、最終仕様書
BOMが保持すべき情報
何を含め、何を含めないか
- あるアイテムを除外してもスケジューリングをしなくてよいわけではない
ファントム(擬似品目)
- BOMの再構築に使うツール
- 仮の部品グループ
- 組み立てられるかに関係なく使用される
- 顧客仕様のオプションがたくさんある製品の場合多用される
機能のモジュール化
オプション製品を扱いやすく出来る
利点
- 製品ではなく各オプションに応じたBOMをつくることでBOMを小さく出来る
- メンテナンスが軽くなる
- 受注入力が効率的になる
- オプションが簡単に予測できる
機能のモジュール化後、計画用BOMを作成
- 計画や予測を目的としたマスタBOMの並べ替え
要望書
特定の注文に対してBOMを関連付けるコンピュータ上のファイル
ロットのトレーサビリティを向上させる
一回限りの代替品やリードタイムずらしを可能にする
BOMの用語定義
BOM(Bills of Material) 部品表
親アイテムを作るのに必要なアイテム番号リスト
コンポーネント、アイテム、原料、サブアセンブリ、中間品、半完成品、ファントムまたは擬似品目を含む
部品番号、品目情報(Part Numbers, P/N)
ユニークな識別子
部品を特定する数字もしくは英数字で分類
部品番号割り当ての基本原則
- 内製品だろうと外製品だろうと需要予測や特注品向けに生産・日程計画が必要な場合は部品番号をつけるべき
- 部品がサービスや取替えのために販売される場合も、部品番号は割り振らなければならない
- ときには、一過性のサブアセンブリにも部品番号を割り当てることがある
- 顧客から返品された場合、製品は分解され、サブアセンブリは倉庫へ戻され、BOMの階層を1つ増やす正当な状況が生まれる
- 共通の部品グループが一つの部品番号で識別されれば、それが製造されたものでなくても、BOMデータベースを節約できると同時にメンテナンスが簡単になる
意味有り部番と意味無し部番
- 各桁に意味を持たせた部品番号は長くなる
- 部品番号15桁でエラー発生率100%
- コンピュータ化以前は、数字のならびに意味を持たせて埋め込むしかなかった
- 短くて意味を持たない部品番号を使用
- 間違えて入力される可能性は低くなる
- 争点は、意味の有り無し、長さではなく、必要なときにユニークな番号を割り振れるか
アイテムマスタレコード
製品情報をおいておく論理的な場所
基本情報
- 技術情報
- 図面番号、図面の大きさ、測定単位
- 他の情報
- 購入対象なのか、製造対象なのか、リードタイム、注文量、サプライヤ番号
- 動的な情報
- 手元の在庫量、コスト、倉庫の場所、部品の位置
サプライヤ部品番号
アイテムマスタレコードにはサプライや部品番号を含むことができる
サプライヤ部品番号を自社部品番号に適用することに優位性はない
部品番号と図面番号
部品番号と図面番号はそもそも使用目的がことなる
部品番号と図面番号が同じなら混乱が生じる
部品番号と図面番号は別々にすべき
工順
部品やアイテムが工場内のどこを通るかを示した物流図
部品に施される作業内容や作業を行うワークセンターがリストになっている
通常は各作業に必要な工数も記してある
製造工程、コンポーネントや資材に施される処理は、BOMではなく工順に含まれなければならない
図面
BOMを図面上に持たないことの利点
- 時間の節約になりBOMを維持しやすい
- BOMOの維持コストが少なくてすむ
部品リスト
基本的には、シングルレベルのBOMをさす
技術部門で作成された場合は、製造で必要なサブアセンブリや中間品を含んでいないことが多い
ファントム
BOMの構造を簡素化するためのツール
BOM再構築の基本要素
定義
仮想のもの、吹き抜け、一過性のもの、自己消費、きっと、モジュール、モジュール表、S-表、部分部品リスト、非在庫サブアセンブリ、便宜上の番号
BOMのあらゆる階層に存在しうる
通常は製造されず、倉庫にも置かれないアイテムを識別する
組み立てられない部品グループを識別する
製造するしないにかかわらず、マスタースケジュール化されるアイテムを識別する
余剰在庫
通常在庫としていない、サブアセンブリを在庫化するには、MRP上で監視できなければならない
サブアセンブリがBOMに無ければならない
顧客からの返品処理
サブアセンブリや部品に分解されて在庫に戻される
返却品はファントムとしてコード化される
ファントムと擬似品目の違い
ファントムと擬似品目の違いはない
BOMの検索をやりやすくするためには、ファントムに特殊なコードを振らなければならない
ファントムがマスタスケジュールの下の階層に追加される場合
- リードタイムをゼロに設定し、オーダー方針はロット対ロットにする
- 実際に製造するのを避けたい
- BOMに追加するときはファントムとして定義
- MRPの計算中に手元の在庫がゼロの時は、ファントムを読み飛ばす
- 在庫がゼロより大きいときは、必要量が在庫に対して集計される
- 在庫がゼロより大きくない場合、ピッキングリストや徴収票はファントムを含んではいけない
- シングルレベルや多層のBOMを印刷する場合、ファントムが識別される場合がある
BOMに含むアイテム
BOMから何を除外できるか
除外したら誰がその生産・日程計画を行うのか
生産・日程計画が必要なものはすべてBOMにふくめること
含むべきアイテム
包装材
印刷物
指示書
製造サブアセンブリ
金物(ボルト、ワッシャ、ねじなど)
半完成品
中間生成物
原材料
消耗品
参照品および図面
サービスパーツ
部品またはサブアセンブリがサービスパーツとして売られる場合
- 部品番号とBOMを持っていなければならない
- アイテムがサービスでしか使用されない(最終組立段階で使われない)場合、完成品用のBOMに含まれていてはならず、独自のBOMを持つ個別アイテムとして扱われるべき
BOMの階層
BOM再構築の基本作業
BOMに階層を加えるか削除する
BOM上のアイテムを移動し、レベルを上下する
BOM上の部品を再グループ化したり、再調整したりする
BOMを構築するとき、階層はなるべく少ないほうがよい
メンテナンスが楽で、事務処理も少なくなる
ワークオーダーも少なくてすむし、品目情報もすくなくなる
階層が与える影響
BOMの階層は各部門に多大な影響を与える
理想のBOM階層
BOMを見ただけでは階層が多いか少ないかはわからない
製造工程がBOMの構造を指定すべき
階層の存在意義
- 階層の少ないBOMは製造工程を見直すプロセスの一環
- 生産管理のためか
- 在庫に入れておくべきアイテムのためか
- 労務費を集計するためか
- いつもそこにあったからか
- 部品不足を発見するためのステージングを行いやすくするためか
- 仕掛品在庫の容量と状況把握を支援するためか
構造はなるべく単純に
標準化・モジュール化
オプションは多ければ多いほど複雑になる
顧客のニーズに合わせるには、注文を受ける前に、オプションと他のすべての部品を想定しておかなければならない
時には数千から数百万の組み合わせが存在
モジュール化こそ、複数の製品にも堪えうるBOMの構築の鍵を握る解決策
生産・日程計画は製品レベルではなく、オプションレベルでしなければならない
オプションの種類によってコンポーネントをグループ化するとき、BOMをモジュール化していることになる
モジュール化されたBOMによって、生産・日程計画に柔軟に対応することができる
生産・日程計画を立てなければならない部品の数を大幅に減らすことが出来る
製品の総数を予測する変わりに、オプションの数だけを予測する
BOMのモジュール化
モジュールBOMというものはない
BOMがモジュール化されているかどうかは見分けがつかない
BOMをモジュール化する意義
全製品を在庫化するのは不可能
モジュール化のメリット
- 回答時間の短縮
- コストの削減
- マスタスケジュールおよび見込み生産アイテム数の削減
- すばやく間違いの少ない受注
オプションの安全在庫計画
- BOMをモジュール化することで、オプションの安全を見越して計画することも可能になる
モジュール化のステップ
- 製品群を識別する
- オプションを識別する
- オプションの相互依存関係を把握する
- どのオプションで製品がとくていされるか
- オプションが変わっても変わらない部品が多数ある
・共通というキーワードで部品を分類
- マスタBOMを作成する
- それぞれの部品グループに一つの部品番号をあたえ、ファントムレベルを作成
- サブアセンブリを作っているのではない
- 仮の部品のかたまりと考えることができる
- 計画用BOMを作成する
- マスタBOMから派生する
・BOMが多数存在し、混乱するわけではない ・マスタBOMと同じファントムやサブアセンブリ、コンポーネントからなる ・予測と日程調整を行わなければならない部品のみを含む
- 製品BOMを作成する
各種要望書
システムに負荷をかける問題
BOMの一回限りの代用
顧客の特別注文
設計変更・仕様変更
ロットのトレーサビリティ、またはコンフィグレーション制御
要望書(Requirements File)
発行されたのに作業が完了しなかった要求事項
オーダーが発行されずに生産日程上で完了していない作業を識別する
以下の用途にも使われる
- BOMの一回限りの代用サポート
- 要望書に保存されるレコードは、BOMのスナップショットをとり、それを特定の注文に結びつけることで完了する
- デマンド・ファイル、計画オーダーと確定オーダーの総所要量を含むファイル とも呼ばれる
- 予約ファイル、引き当てファイル、配賦ファイルとも呼ばれる
- システムに入力
・品目番号 ・製造オーダー番号(スケジュール) ・生産量 ・オーダー時期
- コンピュータが計算
・BOMからコンポーネント必要量を計算 ・オーダーの開始時期
- 効果的に要望書をつかうために
・システムはマスタBOMから独立している確定オーダーまたは製造オーダー(またはスケジュール)に結び付けられたBOMを独立してメンテナンスできなければならない
- コンフィギュレーション制御のサポート
- シングルプロダクションの員数の一括変換サポート
- 品目コストの決定サポート
- 資材可用性を試す生産工程のシミュレーション
- 設計変更のスムースなサポート
- 顧客注文BOM(時として one-time billと呼ばれる)の保存
BOMの変更方法
BOMは変わりやすいデータであり、製品の変わりやすさを反映している
「設計」の変更とは
BOMへの変更は技術部門だけではなく、全社で起こりうる
BOMの変更方法の種類
3種類ある
- 間違いを修正するための変更
- 必須項目の変更
- 安全や責任上の問題
- 製品が出荷されてからしばらくたたないと現れない操作上の問題
- 切替
- 部品の新旧切替
・一番コストのかからない変更 ・管理が一番難しい ・古い部品の在庫がなくなる期日を前もって予測し、新しい部品が必要になったときにちゃんと到着するように日程調整するのが秘訣 ・単純な方法 ・・新しい部品を古い部品のコンポーネントにする ・・多くの場合、この方法はデメリットがあり、用いてはならない ・有効期日、有効シリアル番号、有効ロット番号を使う方法 ・・有効期日はBOMファイルに特別なフィールドを追加して作成 有効開始日、有効終了日と名づけられる ・・古い部品と新しい部品の両方がBOM記録に保存され、コンピュータがBOMを使うとき定められた期日、シリアル番号、ロット番号にしたがって適切な部品を選択する ・・新旧切替の論理的なアプローチ 現実の製造状況を考慮していない 実際の有効期日は一般的には、移動標的である ・FPO(Firm Planned Order 確定計画オーダー)法 ・・新旧切替の最もフレキシブルで実践的な方法
© 2006 矢木浩人