「在庫管理」の版間の差分
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+ | ====安全在庫の必要性==== | ||
+ | *品切れを絶対生じさせてはいけないものについては安全在庫が必要 |
2022年8月23日 (火) 06:30時点における最新版
目次
在庫管理
- 本来在庫管理は、未来の売り上げを確実にする在庫を適切に準備しリスクに備えるマネジメント上の意思決定事項、「在庫マネジメント」
- 企業の在庫管理は現場の個人的努力のレベルに放置され、現場作業、オペレーションの世界にとどまっている
- 結果マネジメント層は現場で何が起きているのかわからず、成り行き管理に甘んじてしまっている
- 在庫管理は、流通業と製造業のビジネスの背骨。
- 需要予測し販売計画を立て、仕入計画、生産計画を立て調達することは物の流れをコントロールする基本業務
- 収益最大化、リスク最小化するのは現場ではなくマネジメントの仕事
在庫とは
- 企業が販売、製造、使用のために保有している資産
- 会計用語では「棚卸資産」商品、製品、仕掛品、原材料、貯蔵品という分類。実務で使用される名称は企業ごとに異なる場合あり。
在庫はどこにあるのか
- 在庫がある場所によって在庫管理の仕方が変わる
店舗
倉庫
- 倉庫は多様、商品・製品倉庫、部品倉庫、材料倉庫、原材料倉庫、流通倉庫、営業倉庫、工場倉庫、サプライヤー倉庫
工程
- 生産ラインに乗っていたりラインに投入される寸前など
輸送
- 輸送中の在庫は「輸送品」
顧客・仕入先
- 自社在庫を客先に預け、使った分だけ売り上げる
在庫が生まれる理由
在庫が悪なのではなく、在庫をコントロールできないことが悪
需給リードギャップ
- 顧客許容リードギャップと供給リードタイムのギャップを埋めるため
生産特性によるギャップ
- 歩留まりなど
企業・業務ポリシー
- 安全在庫、トラック満車ポリシーなど
在庫品の種類
在庫品の呼び方
- 販売目的
- 製品、商品
- 製造目的
- 半製品(仕込在庫)、部品、資材、貯蔵品(常備されている小物、消耗品、消耗治具・工具など)
在庫品の名称
- 時点在庫:ある拠点において現時点で保有する各部品の数量
- 積置在庫:出庫元拠点の在庫(当該拠点の管轄で倉庫から出庫され、未発送の在庫)
- 輸送中在庫:発送先拠点の在庫(当該拠点の管轄で入庫されておらず、輸送中の在庫)
在庫品管理単位(SKU:Stock Keeping Unit)
- 製品や商品の最小管理単位
- 会社にとって必要なレベルを考慮して決定
- JANコードによる単品
- 色・柄・容量などJANコードよりも細かい管理
- 個別単品
- ロット
- 商品部門コード
在庫管理の基礎
在庫管理の目的
- 財務会計
- 受注時の在庫確認
- 適正在庫の確保
在庫の是非
- ものを作れば売れる時代は在庫は多い方がよかったが、現在は在庫=リスクともなる
- 受注機会損失と、在庫リスクとのトレードオフ
理論在庫と実在庫の
- 実地棚卸で正確な在庫数がわかる
- 棚卸作業実施後、理論在庫と比較し差があれば実在庫数に修正する
- 「差」を記録し、原因追求し改善、財務会計では、棚卸差損(差益)として計上が必要
在庫品の名称
在庫システム
- 一般的に製造業では「生産管理システム」、非製造業では「販売管理システム」に含まれている。
- 出荷処理(-)
- 入荷処理(+)
- 棚卸処理(+-)
- 廃棄処理
- 在庫金額換算
WMS(Warehouse Management System)
- 物流・在庫管理に特化させて高機能化したシステム
- 物流センターを総合支援、倉庫内の作業効率化を目指す
- 在庫管理サブシステムを中心に、マテハン(Material Handling 貨物運搬)との連携、輸送計画、配送伝票の発行、トラック配送振り分けなど多岐にわたる
- インターネットを利用して貨物追跡ができるなど
- 配送機能を切り分けて、TMS(Transport Management System)を構築する場合もある
他システム連携
- リアルタイム更新が求められるが、そのためには運用ルールを整備、在庫品受け払い段階での処理が確実に実施できることが大前提
販売管理とのインターフェース
- 受発注段階では、予定情報として有効在庫を増減させ、実際に動いたときに実在庫数を増減
生産管理とのインターフェース
- 製造業の場合、倉庫には、完成品、部品、資材、仕掛品などが保管されている。
- 生産計画 : 所要量計算、在庫不足分を調達
- 製造開始 : 部品払い出し(実在庫をマイナス)
- 製造途中 : 仕掛品に計上
- 製造完了 : 完成品として受入(実在庫をプラス)
財務会計とのインターフェース
- 決算処理に必要な在庫金額を提供する
- 貸借対照表では、「製品在庫」「仕掛品在庫」「原材料在庫」の3項目に分けられ、損益計算書では「売上原価」計算に使用される
在庫モデル
単純なモデル
- 商品ごとに期首での在庫数、期間内の入庫数の総数、現在在庫
- 受け払い明細は在庫数に動きがあったときに記録される履歴(理論在庫と実在庫の差異を調査しやすくなる)
倉庫の組込み
- 沿うこと場所を区別、同一の場所に異なる倉庫を複数定義できるようにする
拠点の導入
- 同一拠点での複数倉庫は物理的に分かれていても、論理的に分かれていても構わない
- 様々な入出庫
- 売上出庫:出荷先への出庫
- 仕入入庫:仕入先からの入庫
- 返品出庫:仕入先への返品に伴う出庫
- 返品入庫:出荷先からの返品に伴う入庫
- 例外出庫:在庫数の調整や社内の移動などに伴う出庫
- 例外入庫:在庫数の調整は社内の移動などに伴う入庫
月次管理の仕組み
- 期首在庫数といった場合の期首が、月初なのか、会計期間なのかが明確になる
- 月が切り替わっても前月向けの受け払いを処理しやすい
ロットごとの在庫管理
荷姿の考慮
ロケーションの導入
- 倉庫を棚やロケ(ロケーション)に分割して、指定されたロットを探し出しやすくする
在庫管理手法
ABC分析
- パレート図を作成し、構成比別に、A品目、B品目、C品目に分類
- ライフサイクルと組み合わせる
- ABC分析を半期ごと、1年ごとにライフサイクル(導入、成長、成熟、衰退)比較する
適性在庫
- どういう品目を在庫に持つか
- それぞれの品目の在庫の適正量をどう把握するか
- 適性在庫を維持するためには、受注、仕入れ、在庫の関係をどう調整していけば良いか
適性在庫の視点
- 総枠管理と単品管理
- 総合的に見た適正量
- 個々の品目ごとの適正量
適性在庫を決める要素
- 需要予測
- 価格
- 在庫費用
- 発注費用
- 調達期間
適性在庫の社内的な意味
- 経営面
- 生産面
- 輸送面
- 販売面
- 調達・仕入面
適性在庫高の求め方
- 4つのステップ
- 商品平均在庫高(目標平均在庫高)を算出
- 品質、数量、価格などのバランスを見て最適と思われる数値に調整
- 在庫が資金繰りを圧迫する恐れがないかを検討
- 月別在庫高をもとに月別在庫仕入れ予算額を算出
在庫回転率
- 在庫の妥当性を計る
- 通常は原材料回転率、製品回転率、商品回転率に分類して考える
在庫回転率 = 出庫量 ➗ 在庫量 = 出庫金額 ➗ 在庫金額
- 単位は回
- 在庫金額は年間平均在庫高
- 年間平均在庫量=(期首在庫+期末在庫)/2
- 業界平均、自社前年と比較
不必要な在庫
- 月一回は在庫回転率を見る
- 回転率が低下していれば原因究明、不必要在庫の発生を抑える
- 既に発生した不必要な在庫を速やかに損失を少なく処分する
不必要な在庫の種類
- 過剰在庫:出庫されている標準数(月単位)をオーバーしている
- 停滞在庫:仕入れから三ヶ月全く使用がない
- 長期停滞在庫:仕入れから六ヶ月全く使用がない
- 劣化品在庫:損耗や陳腐化により使用不能
在庫調整
バラツキ
- 当初予定の在庫量との誤差がバラツキ
- バラツキを最小限にするために在庫管理では需要予測を重視するが、100%の予測は不可能
- 実際の在庫の動きに対応して在庫量を調整する=在庫調整
対象
- 在庫調整の対象は金額ではなく単品ごとの数量
- まず重点在庫を選びそれを主に管理する -> ABC分析
在庫調整の要素
- 実際の在庫の動きは、仕入れ量と実際に入手した時点によって決まる
出庫量の動向を見る
- 個々の在庫品の出庫量の動向を具体的に把握することが必要
- 以下のような方法
- 目安による:単純回帰、グラフ化し延長線
- 平均出庫量による:一定期間の出庫量の平均値を予測値に用いる
- 単純平均:季節変動など動きが反映されない、売れ行きの一定した在庫品にのみ適用可能
- 移動平均:年間平均ではなく、直近三ヶ月、六ヶ月など特定期間の平均、現在の動きに近くなる。長期的視点からの見直し必要
在庫調整のポイント
リアルタイムに在庫状況を把握することから始まる
- 出庫に対して現在庫量が適切か常にチェック
- しまい忘れなどによって出庫の順序に偏りが出ないように注意
在庫の動き方
- 常備型:在庫量の減少を見ながら補充
- 常備分納型:仕入れ回数が多く規則性がない
- 予備品型:突発的に注文が来る
- こぶ型:必要なときに必要量
- 在庫調整では、常備型、常備分納型が在庫調整に必要になる
安全在庫の必要性
- 品切れを絶対生じさせてはいけないものについては安全在庫が必要
© 2006 矢木浩人