ITストラテジスト(会計と経営戦略)
目次
- 1 ITストラテジスト(会計と経営戦略)
- 1.1 企業会計
- 1.2 競争戦略
- 1.3 アライアンスとM&A
- 1.4 経営戦略
ITストラテジスト(会計と経営戦略)
企業会計
利用目的
財務会計
- 一定期間の財務データ
- 外部ステークホルダーへ開示
- 財務諸表
- 商法281条
- 貸借対照表
資産=負債+純資産
- 損益計算書(PL:Profit and Loss Statement)
一定期間の収益と費用を記載 算出 .売上総利益 .営業利益 .経常利益 .税引き前当期純利益 .当期純利益
- 営業報告書
概況、営業状況 会社法 .事業報告
- 利益処分計算書
利益の処理内容 赤字 .損失処理計算書 利益 .当期未処分利益 ..当期純利益 ..前期繰越利益 会社法 .株主資本等変動計算書
- 附属明細書
特定科目の明細や増減
- 企業会計原則
会計処理の遵守すべきガイドライン
- 国際会計基準
投資家、債権者保護 各国間の会計基準の相違を最小化 国際財務報告基準(IFRS:International Financial Reporting Standards)
- キャッシュフロー計算書
一定期間のキャッシュの流れを記載 営業活動 投資活動 財務活動
財務情報記述のため .XMLベース
管理会計
- 企業内部へ提供
- 経営層の意思決定
- 管理層のコストや業績管理
- 社内全体での改善活動
- 企業独自ルール
- 目標管理に重点
- COO(Chief Operating Officer:最高執行責任者が重視)
- 予算管理
- 原価管理
- 財務会計と相補関係
- 管理会計の標準原価計算
財務会計のもと .期末棚卸資産の評価 .売上原価算出
- 損益分岐点
- 売上と費用が等しく、損益が0となる売上高
- 原価計算
- 製品を作るのにかかる原価を算出、集計
競争戦略
基本的競争要因(5フォース)
新規参入の脅威
- 競合の増加
- 競争ルールの変化
代替品の脅威
買手業者の脅威
供給業者の脅威
業界内の競合企業の脅威
競争の基本戦略
コストリーダーシップ戦略
差別化戦略
集中戦略(ニッチ戦略)
価値連鎖(バリューチェーン)
事業活動の各段階で価値を付加
主要活動
- 購買物流
- 製造
- 出荷物流
- マーケティングと販売
- サービス
副次的活動
- 調達
- 研究開発
- 人的資源開発
- 全般管理
戦略立案
- どの部分で付加価値が生み出されているか
- 当社の強み、弱みはどの部分か
- 強化すべき機能
- アウトソーシング化
競争戦略の類型
リーダー
- 圧倒的なシェア
- シェアの維持
- 市場規模拡大
チャレンジャー
- リーダーに競争を仕掛ける可能性
- リーダーの手薄なセグメントを狙う
- フォロワーいかのシェアを取り込む
フォロワー
- チャレンジャーに比較して経営資源の質、量共に乏しい
- 業界の秩序内でリーダーを模倣
ニッチャー
- 規模は小さいが、特定セグメントで地位確立
- 小さい市場規模で差別化
新たな競争要因
タイムベース競争
- 時間を巡る競争
戦略と収益性
高度成長期
- ニーズが一様
- マスマーケット
- 大量に低コストで供給
- スケールメリット大
- 大企業ほど高利益率
近年
- J(U)字カーブの原理
- 大企業
コストリーダーシップ戦略を徹底 利益率向上
- 小規模
事業領域の集中 .低コスト .差別化 収益性向上
- 中規模
戦略が不明確 中途半端に事業領域を広げる 利益率低下
アライアンスとM&A
アライアンス
取引コストの低減
資源の補完
協働によるシナジー
分類
- 資本的独立性維持
- M&Aなどにより一体化
メリット
- 提携開始に投下する資金が少なくてよい
- 解消リスクが小さい
デメリット
- 方針の徹底、機動性に劣る
M&A(Mergers And Acuisition:合併と買収)
機動的な製品開発や事業拡大
- M&Aの重要性が増す
- 経営にスピード
- 時間節約効果
分類
- 水平統合型
- 競合他社など
- 垂直統合型
- 小売業が卸売業など
目的
- 成長戦略の実現
- グループ内再編
- 事業撤退
- 企業再生
- 事業継承
- MBO(Management BuyOut:経営者買収)
プロセス
- 自社経営資源、事業ポートフォリオ検討
- 買収の目的、買収後の事業戦略
- 買収相手選定
- 評価
- デリューデリジェンス
定性・定量的に評価 .内在問題 .将来的な事業価値 評価後に買収価格決定
- 条件交渉
- 敵対的買収
相手の拒否に拘わらずすすめる場合
- 買収実行
- 株主から株式を買い取る
- 買収後の統合マネジメント
- 買収先従業員の意識や士気(マインドセット)を合わせる
- どれくらい関与するか
ハンズオン .深く関与 ..社長、社外取締役派遣など ハンズオフ
- M&Aの手法
- 相対取引
最も基本的 当事者同士が証券取引所を通さずに直接売買取引
- TOB(TakeOver Bit:株式公開買付)
買収意思、条件を公表 市場の一般投資家から買付
- 第三者割当増資
買収先企業が買収する側の企業に対して新株発行 議決権割合を高めて支配権を与える
- 買収価格の算出
- 企業の適正価値を評価
コストアプローチ .資産、負債の時価ベース価格を算出 .資産から負債を引いた純資産を投資家にとっての価値とする マーケットアプローチ .類似会社の株価から推定 インカムアプローチ .DCF法(Discounted Cash Flow) ..将来的な収益を予測 ..現在価値に変換
戦略的アウトソーシング
出現背景
- キャッシュフロー重視の経営が求められる
- 規模や売上高から評価が利益重視に
- 効率性が重視
- 自社内にあらゆる経営資源を持つことが必ずしもプラスではなくなってきた
- リストラクチャリング
- 企業内業務の見直し
- 人員削減
- アウトソーシング(外部委託)
- コスト低減
対象
- コアコンピタンス
- 他社に真似できない競争力の源泉となりうる中核機能
- 顧客に価値を提供できる一連のスキルや技術
- 自社のコアコンピタンスが何であるかを明らかに
- アウトソーシングで効率化した人材や資源
コアコンピタンスをより高めるために再投資
適する業務
- 情報システムの開発運用
- 専門能力
- 物流業務
- 先行投資に莫大な費用
- ひとまとまりで切り出しやすい
- コアコンピタンスにかかわりない
アウトソーシング先の選択
- 対等なパートナー
- Win-Winの関係
- 協調して業務の質を高度化
- マネジメントの質が高く将来の投資に積極的
メリットとデメリット
- メリット
- コスト低減
- アウトソーシング先
専門性活用 経営資源活用
- デメリット
- マネジメントに限界
- 社内業務空洞化
- 内部情報が漏れる
- トラブル
品質悪化、コストアップ、納期遅れ SLA(Service Level Agreement) .サービス要求水準を明確化し合意 ..範囲 ..内容 ..品質 .要求水準 ..測定・評価 ...定量 ...定期
価格の考え方
- 3パターン
- 固定価格方式
事前に決定 .量 .質的条件 .価格 協調して価値創造というコンセプトに合致しない
- タイムアンドマテリアル方式
従量性 .投下時間 .使用経費 生産性向上などのインセンティブが機能しない
- バリュープライシング方式
固定価格 .基本価格部分 変動価格 .目標値設定 ..KPI(Key Performance Indicator:主要業績評価指標) .達成度合いでインセンティブ
動向
- アウトソーシングに特化した業態
- EMS(Electronics Manufacturing Service)
電子機器の製造受託
- グローバル展開
- 再度内部化
- 意思決定のスピードを早めるため
経営戦略
定義
代表例
- 外部環境の生み出す機械やリスクに対して、組織の内部資源やスキルをマッチさせること
- 企業の基本的な長期目標や目的の決定、とるべきコースの選択、これらの目標遂行に必要な資源の配分
特性
行動指針
- 企業活動の基本方針
- 長期的
- 総合的
環境変化への対応指針
意思決定のための枠組み
構成要素
領域(ドメイン)
- 事業展開範囲
- 現在から将来
資源展開
- 事業領域への資源配分パターン
競争優位
- 事業領域に資源配分することで得られる競争上の強み
シナジー
- 相乗効果
- 新規市場への進出時
- 既存を利用できる
生産設備 販売経路 技術
概念の発展
1960年代
- 長期的視点
- 事業戦略中心
1970年代
- 合理的経営資源の配分
- 分析技法の研究と実践
- コストリーダーシップ戦略
1980年代
- 差別化戦略
- ニッチ戦略
- 戦略実行の重要性認識
1990年代
企業間BPR
新たな戦略論と課題
戦略論
- ポジショニング論
- 業界でとりうる戦略には基本パターン
- 業界ごとに収益性が規定
- VRIOフレームワーク
- 内部資源が戦略を規定
成熟した業界でも高い収益性
- 経済価値(Value)
- 希少性(Rarity)
- 模倣可能性(Imitability)
- 組織力(Organization)
- クラフティング戦略
- 実行段階での現場レベルで戦略を個別的、創発的に環境にダイナミックにすりあわせる
課題
- コーポレートガバナンス(企業統治)
- 会社は誰のものか、誰のためのものか
- ステークホルダー保護
統治機構 経営の説明責任
- CSR(Corporate Social Responsibility)
- 企業の社会的責任
- 納税
- 雇用機会の提供
- 不公正取引の排除
- メセナ
- フィランソロピー(慈善活動)
経営戦略の体系
階層による類型化が一般的
- 会社戦略
- 組織全体
- ドメインの選択と定義
事業領域の確定 .どの事業領域で使命を実現するか
- 戦略的事業単位(SBU:Strategic Business Unit)
経営資源配分対象
- 事業戦略
- 製品・市場
- 特定の事業ごと
競争戦略
- 分類
シェア拡大戦略 成長戦略 利益戦略 市場集中・資産縮小戦略 .強い市場に集中 回復戦略 .衰退を早めに食い止める 整理撤退戦略 .できるだけ多くのキャッシュフロー
- 機能戦略
- 生産・販売など
資源生産性の極大化
- 体系
販売戦略 研究開発戦略 財務戦略 生産戦略
- 製品-市場マトリックス
市場浸透 市場開発 製品開発 多角化
経営戦略と環境適応パターン
防衛型企業
- 高機能化
- 高品質化
- 低コスト化
- 集中的な全社的コントロール
攻撃型企業
- 先駆者として、新しい製品、サービス
- 新市場
- 緩やかな分散的コントロール
分析型企業
- 追随者として新しい製品、サービス
- 新市場
- 投資のバランス
- 集中的と分散的を組み合わせたコントロール
受身型企業
- 明確な戦略なし
- 一貫したコントロールなし
© 2006 矢木浩人